エンジニアとして働いていると、新しい技術や見慣れないエラーに直面して「これ、どう調べればいいんだろう?」と手が止まってしまうこと、ありませんか?
分からないことが出てくるのは当たり前で、大切なのは分からないことを効率よく解決する力です。これはキャリアを通してずっと使う、一番つぶしの効くスキルだと言ってもいいでしょう。
先に結論から言うと、私は普段、分からないことにぶつかったら次の順番で調べています。
- AIに聞く(ChatGPTやClaudeで当たりをつける)
- Googleで裏を取る(AIの回答が正しいか検索で確認する)
- 公式ドキュメントを確認する(一次情報で最終チェック)
- それでもダメなら人に聞く
たいていのことは、この流れで解決できます。ただし、それぞれの方法には得意・不得意があり、組み合わせてこそ力を発揮します。この記事では、エンジニアが分からないことを調べる4つの方法——人に聞く・本で調べる・ググる・AIに聞く——を、私自身の失敗談も交えながら紹介します。今の私はAIから使うことが多いですが、まずはそれぞれの特徴をつかんでほしいので、以下では昔ながらの「人に聞く」から順に見ていきましょう。
① 人に聞く
職場の同僚や知り合いに質問することは、素早く正確な情報を得る手段の一つです。もしかしたら過去に同様の問題に直面した経験があり、検索では出てこない「現場ならではの勘所」を教えてくれるかもしれません。
また、オンラインコミュニティ等で質問を投稿することも有効な手段です。ただし、質問をする際には問題点や疑問点を明確にし、できるだけ具体的に説明することが大切です。
少なくとも以下の点を意識して質問しましょう。
- 何をやりたいのか
- やりたいことに対して、何が分からないのか
- やりたいことに対して、自分なりに試してみたこと
- サンプルコードを提供できるか
特に、新人や初学者の場合は質問すること自体に遠慮や抵抗があるかもしれませんが、上記のようなことを意識して質問することも重要なスキルです。ちなみに、この「何が分からないかを言語化する力」は、後述するAIへの質問でもそのまま効いてきます。なお、用語そのものが曖昧なまま質問すると話が噛み合わないので、基礎的な言葉は先に押さえておくのがおすすめです(参考: [まずはこれだけ!]プログラミングにおける変数を理解する)。
一方で、私は新人の頃から「すぐには人に聞かない」ことも意識していました。まずはある程度、自分で時間をかけて考える。そうやって頭を悩ませてやっと解決したことは記憶に残りますし、確実に実力につながるからです。ただし、これは新機能開発や急ぎではないバグ対応に限った話です。緊急性の高いインシデント対応で一人で抱え込むのは厳禁。状況に応じて「自分で考える」と「すぐ聞く」を切り替えましょう。
② 本で調べる
技術書や専門書は、基本的な知識から高度なトピックまで体系的な情報が載っています。検索やAIが「点」の答えをくれるのに対して、本は知識を「線」でつないでくれるのが強みです。
自分の興味や問題に関連するトピックに特化した書籍を見つけ、基礎から応用までの知識を深めることができます。土台ができていると、検索やAIの答えが正しいかどうかを自分で判断できるようになります。
また、信頼性のあるオンラインのリソースやドキュメントも貴重な情報源となります。そういったサイトを見つけたらブックマークしておきましょう。自分が取り組んでいる分野で、辞書的に使える本を手元に置いておくと安心です。
③ ググる
Googleで検索することは、今でも最もよく使う調べ方の一つです。分からないことについてキーワードで検索することで、多くの情報を得ることができます。
ただし、信頼性のある情報を選択することが重要です。公式ドキュメントや信頼できる技術ブログ、Q&Aサイトなどを利用することをおすすめします。
この検索スキルは、AIが普及した今でも価値が下がっていません。むしろAIの回答の裏を取ったり、最新の情報を確認したりするために必須のスキルです。ここからもう少し深堀りしていきます。
少し大げさに言えば、検索力とは「Googleを使う技術」ではなく「分からないことを言語化する力」です。何が分からないのかを言葉にできれば、検索でもAIでも答えにたどり着けます。逆にここが曖昧なままだと、どんなに高性能なツールを使っても遠回りになってしまいます。
エラーの解決方法が分からない時の検索の仕方
エラーメッセージが表示されたとき、まずそのエラーメッセージを注意深く読み、何が問題であるかを把握しましょう。ほとんどの場合、詳細な情報が表示されています。
とはいえ、長いエラーを最初から全部読む必要はありません。私も新人の頃は一字一句読もうとして時間を溶かしていましたが、エラーには型(パターン)があり、慣れてくると「どこで」「何が起きたのか」という核心部分だけを拾えば十分なことがほとんどです。スタックトレースの長い羅列に圧倒されず、まずは要点となる1〜2行に注目しましょう。
その後、エラーメッセージのキーワードを使って検索していきましょう。この時に、使っているフレームワークやプログラミング言語を含めて検索することで適切な検索結果が表示されやすくなります。
例えば、Railsで開発していて出たエラーメッセージなら、「rails + エラーメッセージのキーワード」と検索します。プロジェクト固有のファイルパスや変数名は省き、共通して起きそうな部分だけを残すと、ヒット率が上がります。
検索結果については、出来るだけ複数のサイトの内容を読んで比較しましょう。特に公式ドキュメントやGitHubのIssueは信頼性が高いため、検索結果に出てきたら目を通しておきましょう。
英語が分からなくても、DeepLなどの翻訳ツールを使えば問題ありません。エラーや公式ドキュメントは英語のほうが情報が豊富なことも多いので、英語のページを避けないようにしましょう。
私自身、こんな経験があります。Railsのフラッシュメッセージが、Turbolinksを使ったアプリで「別ページから戻ったときに一瞬だけ表示されて消える」という不可解な挙動に悩まされたことがありました。最初は何と検索していいか分からず、「rails flash ちらつき」などと打って手探りで情報を探していました。なかなか決定打が見つからず、最終的に英語で「rails flash flick」と検索したところ、ようやく的確な情報にたどり着いて解決できたのです。日本語で詰まったら英語に切り替える——これは今でもよく使う手です。
やりたいことの実現方法が分からない時の検索の仕方
やりたいことを具体的に言語化しましょう。
簡単な例として、以下の画像のようなベルのアイコンを押したらお知らせのような情報が表示されるものを作りたいと思った場合を考えてみましょう。

まず、これが一体どういう名前の機能なのかを調べてみましょう。名前があるはずです。

検索結果から以下のようなキーワードが分かります。
- お知らせ(通知)機能
- 新着
- 未読
- 既読
お知らせ機能という名前が分かったので、続いてRailsでどうやって作るのか調べてみます。

多くの情報が出てきました。あとは出来るだけ複数の内容を比較して、自分がやりたいことに最も近いものを見つけていきます。
この時に意識した方が良いポイントは以下です。
- 比較的新しく書かれた記事である(古い記事は最適な方法ではない可能性があるため)
- 書いた人の情報やいいね数が多い記事である(あまり見られてない記事は内容が間違っている可能性があるため)
また、YouTubeやUdemy等でも同様のキーワードで検索することをおすすめします。動画やチュートリアルを見つけた場合、そちらも参考にしましょう。テキストよりも動画の方が全体像を素早く学べることもあります。Railsでの機能実装の進め方は、rails ブログ機能の実装方法7選!実例付きのような手を動かす記事を参考にするのもおすすめです。
④ AIに聞く
近年、調べ方を大きく変えたのが生成AIの存在です。ChatGPTやClaudeのような対話型AI、GitHub CopilotやCursorのようなコーディング支援ツールを使えば、エラーの原因や実装方法を対話しながら素早く絞り込めます。
「検索キーワードすら思いつかない」段階でも、状況を文章で説明すれば手がかりを返してくれるのが大きな強みです。
AIに質問するときは、「人に聞く」のところで挙げたポイントがそのまま効きます。やりたいこと・前提・試したこと・エラーメッセージ全文・関連するコードを、省略せずに渡しましょう。情報が多いほど回答の精度は上がります。
- 使っている言語・フレームワークとバージョンを伝える
- エラーが出ているなら、メッセージは要約せず全文を貼る
- 関連するコードや設定ファイルも一緒に渡す
- うまくいかなければ、結果をフィードバックして対話を重ねる
具体的には、こんな違いです。同じ疑問でも、渡す情報の量と聞き方で、返ってくる答えの質はまるで変わります。
悪い質問の例
通知機能を作りたいです。コードを書いてください。良い質問の例
Rails 8 / Ruby 3.4 で開発しています。
記事にコメントがついたら投稿者に知らせる「通知機能」を作りたいです。
(ベルのアイコンを押すと、新着・未読・既読が分かるイメージ)
前提:
・User と Comment モデルは既にある
・まずはシンプルなMVPで十分
考えられる実装方針を2〜3案、それぞれのメリット・デメリットを添えて提案してください。
忖度はいらないので、私の前提に無理があれば率直に指摘してください。ポイントは2つあります。ひとつは「方針を2〜3案、メリット・デメリット付きで」のように答え方を指定すること。ひとつの答えに飛びつかず複数の視点を出させると、より良い選択肢を引きやすくなります。
もうひとつは「忖度はいらない」と添えること。AIはこちらの意見に同調しがち(いわゆるYesマン)で、こちらが間違っていてもそれっぽく肯定してくることがあります。率直な指摘を求める一言を入れるだけで、回答の質が一段上がります。
また、新機能開発のように規模が大きいときは、いきなりコードを書かせないのがコツです。私はまず「壁打ち」で方針をすり合わせ、実装計画を作らせます。そのアプローチや大まかなコードの方向性が、自分の考えていたものとおおよそ一致したら、はじめて実装に進んでもらう。こうすると、見当違いの大量のコードを生成されて手戻りする、という事故を防げます。関連ファイルの特定などは、最近のAIなら賢く判断してくれるので、細かく指示しなくても大丈夫です。
ただし、AIの回答を鵜呑みにしないことが何より大切です。AIは事実と異なる内容をもっともらしく答えること(ハルシネーション)があり、古いバージョン向けの書き方や、存在しないメソッド・ライブラリを提示することもあります。
返ってきたコードや手順は、必ず公式ドキュメントで裏を取り、自分の手元で動かして確認しましょう。
つまり、AIは「③ググる」や「② 本で調べる」と対立するものではなく、組み合わせて使うものです。AIで当たりをつけ、公式ドキュメントや信頼できる記事で裏を取る——この往復ができると、調べる速度と正確さの両方が一気に上がります。
まとめ
エンジニアが分からないことを解決するための4つの方法を紹介しました。
- 人に聞く
- 本で調べる
- ググる
- AIに聞く
かつては「まずググる」が基本でしたが、今はAIで素早く当たりをつけ、検索や公式ドキュメントで裏を取るという使い方が効率的です。一方で、検索結果の信頼性を見極めたり、AIの回答が正しいかを判断したりする力は、これまで以上に重要になっています。
道具が増えても、本質は変わりません。エンジニアは、すべてを覚えている必要はないのです。人に聞く、本で調べる、ググる、AIに聞く——大切なのは「答えを知っていること」ではなく、「答えにたどり着く力」です。そしてその力の根っこにあるのが、この記事で何度も触れてきた「分からないことを言語化する力」だと思います。
私自身、10年以上エンジニアとして働いていますが、今でも毎日のようにAIや検索を使って調べものをしています。それでも仕事を進められるのは、すべてを暗記しているからではなく、必要なときに答えへたどり着けるからです。
この力さえ磨いておけば、どんな新しい技術が出てきても、自分で前に進んでいけるはずです。
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